町家での弦楽四重奏

堺では、10月の終わりから11月の初めまで、普段なかなか見ることのできない町家が公開されます。昨日の11月3日は、娘と見に出かけました。
戦時中、堺の中心部は焼夷弾によって焼き尽くされましたが、旧堺市内、つまり環濠で囲まれた自治都市時代の堺の街でも北のほうは比較的災禍を逃れました。たとえば、北半町、北旅籠町、桜之町、綾之町、錦之町などです。
2年前も娘と二人で来たのですが、この界隈は古い町屋が残っていて、実に風情のある佇まいです。
まずは、北旅籠町の「朝日堂菓子舗」で最中を6つ購入。その後包丁や日本刀を昔からの製法で作っている桜之町の「水野鍛錬所」で工房を見せていただきました。またそのすぐ近くの「七まちびいどろ」で小4ぐらいの女の子がトンボ玉の体験製作をしているのをしばらく見ていました。娘もやってみたいと言いましたが、ガスバーナーを使うし、指導してくれる店主とコミュニケーションが取れないだろうから、今度来たときにしようと諦めさせました。
そのあと昼食をと思い、ざるそばを食べようと錦之町の「鳳翔館」に行きましたが、満員でした。あたりをいろいろ探しましたが、ファミレスもありません。さんざん探して入ったのが、喫茶店。メニューは限られましたが、娘の注文した卵サンドは大正解。おいしい、おいしいとすぐ完食。
昼食後は「山口家住宅」に向かいました。ここは2年前も娘と来たのですが、建てられてから400年近く経っている商家です。今は整備され、堺市立町家歴史館となっています。ここで2時から「アンサンブルコンサートin文化財」というのが企画されていたので、今回はこれを目当てにやって来たのでした。
主家の土間で大阪交響楽団のメンバー4名がバイオリン、ビオラ、チェロで数曲演奏してくださいました。聴衆は土間と、あがりのところと畳の間3室の襖を取り外して一間にしたところで全部で200人ぐらいはいたと思います。第1バイオリンの方が演奏会を進めてくださいましたが、トークも面白かったし、もちろん演奏のウデも第一級です。3曲目の「プリンク・プレンク・プランク」という曲は、演奏者4人とも弓を使わない曲です。バイオリンもビオラもまるでギターのようで、またチェロは小ぶりのウッドベースといった感じでした。こんな面白い曲もあるんだと感心していたら、「赤とんぼ」や「川のながれのように」では大合唱。演奏者と聴衆が一つになった楽しいコンサートでした。
「音楽」というのは音を楽しむもの、聞いているほうが緊張しては「音苦」になってしまいますよね。
娘に楽しかった?と聞くと、ウンと頷いてくれました。この楽しさ、喜び、気持ちをいつまでも持っていてほしいと思った一日でした。