菊屋 御城之口餅

 

先日、またまた娘と出かけました。今回の行き先は、大和郡山
JR大和路線郡山駅で下車。右も左もわからず、ぶらぶら歩いて行くと目的の本家 菊屋が目の前に。

大学生のころ、この大和郡山から通学していた後輩からご馳走になったこの店の「御城之口餅」。これをぜひもういちど食べたいと常々思っていました。娘に「金魚を見に行こう」と連れ出し、ようやく実現したのでした。

さて、風情ある店を外から眺めていると、ご主人が「さあ、中にお入りください」と声をかけてくださいました。私は、郡山城や町並みを見てから、あらためて寄るつもりだったので、一応は遠慮したのですが、お客のご婦人が「ご主人が言われているんだから中に入ってゆっくり見たら?」と言ってくださり、ショーケースの中のいろんな和菓子を見ていました。そうすると、今度はご主人が「お客様にお茶を出してあげて」と店の女性に言われました。すると、お茶だけでなく、なんと小皿に載った「城之口餅」も持ってきてくださり、ご馳走になりました。牛皮、餡、黄粉が完璧に調和しており、約30年ぶりの懐かしい味に感動しました。娘もおいしい!と大感激でした。

礼を言ってからいったん店を出て、郡山城天守閣など建造物はほとんどない)を娘と散歩し、その後戻ってお土産に20個入りを買いました。1個1個は一口サイズで、値段は高く感じるかもしれませんが、食べてみると納得してしまいます。

お店の案内によると、天正の頃、郡山城豊臣秀長が太閤秀吉を招き大茶会を催した際、店主がお菓子を造り献上したところ大変好評となり、これを売り出すことになったということです。店が城の入り口に位置していたことから、「城之口餅」と呼ばれるようになったそうです。おそらく400数十年、この味は変わっていないのでしょう。

さて、その後紺屋町という道の真ん中に小川が流れている通りに行きました。昔は藍染めがさかんでこの小川を使っていたとのことです。この小川で金魚が泳いでいるのがまれに見えるそうです。案外流れが速くて、いそうにないと思ったのですが、1匹だけ流れの緩いところにいました。上流の池から流れてきたのかと思われます。

私が期待していた昔の町並みがほとんど見られなかったのは残念でしたが、菊屋のご主人やお客さんの暖かい心に触れることができて、この日は一日中ハッピーでした。